今年は、例年より梅雨が遅く、7月に入っても九州地方では、記録的な大雨が続き、川の氾濫、崖崩れ等、床上浸水の水難事故が起きている。
まだ梅雨はしばらく続くと気象庁は発表している。
消防庁によると、毎年6~9月には5万人前後が、熱中症とみられる症状で救急搬送されていて、世代別では65歳以上の高齢者が最も多いみたいです。
熱中症で受診する人は年間35万人前後で、死者が1千人を超える年もあるそうです。
特に高齢者は、エアコンを使いたがらず、夜中にトイレに起きるのを嫌って、水分を控えるといった、頑固者も多いみたいです。
今回は、熱中症について、いろいろ調べてみました。
■熱中症とは何か?
体温を平熱に保つために汗をかき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)が少なくなり、血液の流れが弱くなります。
それによって体温が上昇して、重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症する障害の総称です。
高温のところに長期間いたり、そのあとの体調不良は、すべて熱中症の可能性があるのです。
死に至る可能性のある病態です。
予防法を知って、それを実践することで、完全に防ぐことができます。
応急処置を知っていれば、重症化を回避し、後遺症を軽減できます。
■熱中症はどのように起こるのか?
熱中症を引き起こす条件は、「環境」と「からだ」と「行動」によるものが考えられます。
熱中症を引き起こす3つの要因
その1「環境」
・気温が高い
・湿度が高い
・風が弱い
・日差しが強い
・閉め切った室内
・エアコンの無い部屋
・急に暑くなった
・熱波の襲来
その2「からだ」
・高齢者や乳幼児、肥満の方
・糖尿病や精神疾患と言った持病
・低栄養状態
・下痢やインフルエンザでの脱水状態
・二日酔いや寝不足といった体調不良
その3「行動」
・激しい筋肉運動や、慣れない運動
・長時間の屋外作業
・水分補給できない状況
以上のような結果、熱中症を引き起こす可能性があります。
人間の身体には、平常時は体温が上がっても、汗や皮膚温度が上昇することで、体温が外へ逃げる仕組みとなっており、体温調節が自然と行われます。
■熱中症の種類と特徴
➊ 熱けいれん(軽度)
大量に汗をかき、水だけを補給して、血液の塩分の濃度が低下したときに、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起きます。
[救急処置]
風通しの良い涼しい場所に移動し、足を高くし、横向きに寝かせる。
塩分不足のため、食塩水もしくはスポーツドリンクなどを飲ませる。
❷ 熱疲労(中等度)
脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられます。
[救急処置]
風通しの良い涼しい場所に移動し、寝かせ、下半身を高くし、安静にさせる。
衣類を緩め、水分補給(スポーツドリンクなどの塩分を含んだもの)を行う。
➌ 熱射病(最も重篤)
体温上昇のため中枢機能に異常をきたした状態で、意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がみられたり、体温が危険な温度まで上昇する。
[救急処置]
死への危険のある緊急事態です。
体を冷やしながら、集中治療のできる病院へ、一刻も早く運ぶ必要があります。
体温を下げるには、水をかけたり濡れタオルを当てて仰ぐ方法、首、腋の下、足の付け根など太い血管のある部分に、氷やアイスパックをあてる方法が効果的です。
循環が悪い場合には、足を高くし、マッサージをします。
■熱中症から身を守るには
[外出時には]
*日傘や帽子を着用する
*日陰の利用、こまめな休憩をする
*天気の良い日は、日中の外出を控える
[室内では]
*扇風機やエアコンで温度を調節する
*遮光カーテン、すだれ、打ち水を利用する
*室温をこまめに確認する
[からだの蓄熱を避けるために]
*通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する
*保冷剤、氷、冷たいタオルなどで、からだを冷やす
[こまめに水分を補給する]
室内でも、外出時でも、のどの渇きを感じなくても、こまめに水分・塩分、経口補助液※などを補給する。
※ 水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの。
■高齢者の方は特に注意が必要
高齢になると脂肪がつきやすくなる分、身体の中の水分の割合が少なくなり、同じ環境にいても高齢者の方が、熱中症になりやすい。
高齢者は、暑さや喉の渇きを感じにくく、水分を十分に摂ることが難しく、心機能や腎機能が低下しがちなため、熱中症になった時の症状が、より重篤になりやすい傾向にあります。
[高齢者の熱中症を防ぐポイント]
*「水分」を計画的に摂ろう
*「シャワー」やタオルで身体を冷やす
*「暑いときには」無理をしない
*「室内」を涼しくしよう
*「エアコン・扇風機」を上手に使用する
*「気温や湿度」を測って知ろう
*「お出かけは」身体に十分配慮しよう
*「緊急時・困った時」の連絡先を確認する
■まとめ
寝不足や疲れがたまって、体調が悪いときや、二日酔いや、下痢で体内の水分が減っているときには、体温を調節する体の仕組みが、普段通りに働かないため、熱中症を起こす危険性が高くなります。
高齢者の熱中症の特徴として、室内で多く発生しているため、部屋の温度が上がらない工夫をすることや、こまめに温度をチェックし、こまめに休息と水分・塩分補給を行なって、熱中症の予防を心がけましょう。